ご挨拶
東海大学 学長
木村 英樹
『吉秒』の決断を未来の糧に
― 仲間との共創で描く、自分だけの航路
第55回海外研修航海の実施にあたり、東海大学を代表してメッセージを贈りたいと思います。半世紀以上の歴史を誇るこの研修航海は、本学が掲げる実践教育の象徴であり、他に類を見ないユニークなプログラムです。私も東海大学学生時代に海外研修航海に参加しましたが、船内で友人や団役員の先生方の貴重な経験は、今でも深い思い出になっています。ここでの学びが、今日の私につながっているように思います。
スマートフォン一つで瞬時に世界中の情報にアクセスできる現代、私たちは情報の波に飲まれ、自ら深く考える機会を見失いがちです。しかし、本研修では海洋調査研修船「望星丸」という限られた空間で、約一カ月間に及ぶ集団生活を送ります。大海原で厳しい自然と向き合い、異国の文化に触れ、仲間と議論し、協力し合う。望星丸には衛星インターネット設備もありますが、ここでの「アナログで密度が高い体験」は、決してデジタルやAIでは得ることができない、一生の財産となるでしょう。
私が学長として大切にしている言葉に、創立者が掲げた「若き日に汝の思想を培え」「若き日に汝の希望を星につなげ」があります。不確実なVUCAの時代、科学技術がどれほど進化しようとも、人が持つ「思想」と「希望」こそが社会を良くする鍵となります。本航海は、皆さんが自らの「星」となる未来のビジョンを見つけ、そこに希望を繋げるための挑戦のフィールドです。
今回の第55回航海では、清水港を出港し、ミクロネシア連邦のポンペイ、パラオ共和国のコロール、そして沖縄県の宮古島を巡る約5,670海里の行程を辿ります。各地での国際交流やフィールドワークを通じ、本学が養成する「自ら考える力」「集い力」「挑み力」「成し遂げ力」という四つの力を存分に発揮し、磨き上げてください。
「思い立ったが吉秒」。この航海への参加を決意した皆さんの「即断即決」の勇気に、私は声援を送りたいと思います。多様な背景を持つ仲間との「共創(コ・クリエイション)」を楽しみ、驚きと感動を分かち合ってください。困難を乗り越えた先には、皆さんの人生を明るく照らす大きな力が身につくでしょう。
最後に、学生を支えるご家族や教職員、そして航海を支える全ての関係各位に感謝申し上げます。参加者全員が逞しく成長し、輝く笑顔で無事に帰港することを心より願っております。
