記念文集
東海大学 学長
海外研修航海実行委員会 委員長
山田 清志
研修航海を誇りに
人生100年と言われる時代、大学生活の4年間はほんの短い間ですが、そこで得られた経験は長い人生を送る上での貴重なものです。大学の中にいると、日々の学生生活は当たり前の毎日として過ごしてしまいますが、この研修航海は非日常性を有しているということもあり、参加学生に強い印象と影響を与えて来ました。
では、なぜそのようなことが生じるのでしょうか。勿論、何日間も水平線しか見ない洋上生活から生じるものでしょうし、また異文化を肌で感じる訪問先での研修によるものでもあるのかもしれません。しかし、私はそれ以上にこの研修航海を実りあるものにしているのは、団員の選別から事前研修、そして船内での生活、更には船を降りてからの交流なども含めたトータルな研修団を作り上げていくという過程が一番大きいように思います。
今回の第51回海外研修航海では、残念ながら洋上の部分は実現できませんでしたが、出港までの準備とその後の文集作成や団員相互の連携などは、研修航海を形作る大事な部分として皆さんが共有されているものと思います。その意味で今回の研修航海は、その目的の多くを達成したものと言えます。
東海大学は学生数3万人を有する大きな大学ですが、その中で小さな大学なら可能なことを求め続けてきました。1年間に100人程度しか経験出来ない海外研修航海を、半世紀に亘り続けて来たのは、典型的なその現れです。これまでにこの研修を経験した学生団員の総数は4,000名を超えます。大学全体の同窓生総数が40万人ということを考えれば1%にしか過ぎません。しかしこの1%の方たちは、東海大学とはどういう大学なのかをきちんと理解したコアな存在です。皆さんはその中の一人です。研修航海に参加したという誇りをもって、たくましくこれからの人生を歩んで下さい。